頑張って早い更新です★
今週は頑張って毎日更新しようと思います!
年末ですからねっ(?)
今日は「オフィーリア ~Part 2~」なので、ぜひ、Part1、さらにはその前のブログも読んでいただけた方が面白いかもしれません(*^^*)
さて、前回は、演劇の方のオフィーリアを見ていただきました。
今日は、トマのオフィーリアを見ていただきます。
前回述べたように、狂気にはコロラトゥーラが多く用いられます。
このトマのオフィーリアは、普通に歌う部分とコロラトゥーラが行ったり来たりすることで、現実の世界と狂気を行き来していることが音楽で表現されています。
ナタリーデセイというソプラノ歌手の演奏です。
以前このブログでも紹介したことのある動画ですが、歌唱が素晴らしいのはもちろん、演技も素晴らしいのです!(You Tubeにたくさんありますのでぜひ!)
さて、シュトラウスはこの狂気の世界をどう表現したのでしょうか。
狂気を描く際に多く用いるコロラトゥーラを用いることなく、狂気の世界を表現したのです。
前回、詩の対訳をアップいたしましたが、あのように3曲に分けて作曲してあります。
全体的には、不協和音を多用することによって躁鬱状態が見事に描かれていて、現実世界と狂気の世界を行き来する様子がよくわかります。ピアノパートと歌が、かみ合わないように進行したり、たまにピタっと歌と連動したり・・・狂気に至ってしまった彼女の足取りを表現しているようでした。
全体的に躁鬱状態を行き来しているわけですが、
1曲目は、鬱。シンコペーションで進む左手パートが進まない足を動かしているようです。その上を右手パートが半音ずつ音を変えて、予測不可能に音を進めていきます。それを真似するように歌がなぞっていきます。
2曲目は、まさに躁状態。テンポの速さがそれを表しています。言葉も早くしゃべります。(歌うの、実は大変です(笑)下品なことを、口が勝手にしゃべってしまうような印象です。それほど、彼女は今の状況が受け止められないのでしょう。。
そして3曲目。大好きな3曲目です。
救いを求めるも、誰も助けてくれないような感じがピアノパートに描かれています。
曲はじまり、1オクターブを一拍でせっかく上がっても2拍目以降上行下行を繰り返しながらも最初の音に戻ってしまうのが、オフィーリアの救いを求めるも、周りがそれを救ってくれないように読み取れます。
1曲目が鬱、2曲目が躁だったのが、3曲目では、この躁鬱状態を1曲の中で行き来します。それぞれの状態の時間がどんどん短くなり、最後はとってもゆったりしたテンポの中で、彼女自身の言葉を話して、この場、そしてこの世を去ります。
ちょっとマニアックな曲かもしれませんが、とても素敵な曲で、リアルなオフィーリアの心境を表していて私はこの作品が大好きです。
この曲が作曲された当時、ドイツでのシェイクスピア作品はシュレーゲルという作曲家のものが多く使われていた中、シュトラウスはジムロックという人の対訳を使いました。これによって、より現代語に近いドイツ語訳になり、よりリアルにオフィーリアを描くことに成功したように解釈しています。
ぜひ、対訳と一緒にお聴きくださいませ(*´▽`*)
この対訳も、自分で作りました。
先日のは、シェイクスピアの英文を訳したもので、今日のは、原文をジムロックが独訳したものを、さらに平中麻貴が日本語訳にしたものです(笑)
ジムロックのドイツ語訳の意図を活かして訳してみました!
もちろん、一人の力では難しく、ドイツ文学の教授の先生にも手伝ってもらいました(;'∀')
おかげで、素敵な訳になりました★
Ruchard
Strauss(1864-1949) | |
3 lieder der Ophelia(1918) | |
Karl Joseph Simrock
(1802-1876) 独訳 | |
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Wie erkenn' ich mein Treulieb | どうやって本当の恋人を見分けるの |
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Wie erkenn' ich mein Treulieb | どうやって本当の恋人を見分けるの |
Vor andern nun? | ほかの人から? |
An dem Muschelhut und Stab | 貝帽子と杖に |
und den Sandalschuh'n. | そしてサンダル靴。 |
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Er ist tot und lange hin, | とっくの昔に死んでしまった |
Tot und hin,Fräulein! | 死んで遠くにね、そうでしょ! |
Ihm zu Häupten grünes Gras, | あの人の枕元には緑の草 |
Ihm zu Fuß ein Stein. | 足もとには墓石が。 |
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Oho! Auf seinem Bahrtuch, | おぉ!あの人の経帷子は |
weiß wie Schnee, | 雪のように真っ白で棺をおおう衣の上では |
viel liebe Blumen trauern. | たくさんの花が悲しんでいる |
Sie gehn zu Grabe naß,O weh! | そして花たちは墓場へと濡れたままついてゆくのよ |
vor Liebesschauern. | あぁ!戦慄から流れる涙と共にゆりうごかされて |
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Guten Morgen,'s ist Sankt Valentinstag | おはよう、今日は聖バレンタインの日よ |
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Guten Morgen,'s ist Sankt Valentinstag | おはよう、今日はバレンタインの日よ |
so fruh vor Sonnenschein. | それだから日の出よりずっと早く |
Ich junge Maid am
Fensterschlag | 若い娘の私は窓を叩いて |
will Euer Valentin sein. | あなたのために愛を送りましょう |
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Der junge Mann tut Hosen an, | 若い男の子はズボンを着て |
tät auf die Kammertur, | そして部屋のドアをあけて、 |
Lies ein die Maid, die als Maid | 乙女が部屋に入れました |
die als Maid ging nimmermehr herfür. | そして出る時には、もはや乙女ではありませんでした。 |
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Bei Sankt Niklas und Charitas! | 聖ニコラスにかけて、聖カリタスにかけて言うけど、 |
Ein unverschämt Geschlecht! | 男は恥知らずなやつらね! |
Ein junger Mann tut's wenn er
kann, | 若い男は出来るときにやっちまうの、 |
fürwahr,das
ist nicht recht. | やっちゃいけない事よ、本当に。 |
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Sie sprach: Eh Ihr gescherzt
mit mir, | 娘は言った「あなた、私といちゃつく前に言ったわよね? |
verspracht Ihr mich zu frein. | 私と結婚してくれるって。」 |
Ich bracht's auch nicht beim
Sonnenlicht, | 俺はおひさまにかけて誓うけど、 |
wärst du nicht kommen herein. | 君が中へ入ってこなかったら俺はそんなことしなかったよ」 |
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Sie trugen ihn auf der Bahre
bloss | 人々は彼を裸の棺台の上に運び去った |
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Sie trugen ihn auf der Bahre
bloß, | 人々はあの人を裸の棺台の上に運び去った |
leider,ach leider,den
Liebsten! | 悲しい、悲しい、愛する人! |
Manche Träne fiel in des
Grabes Schoß | たくさんの涙が墓にこぼれ落ちた |
fahr wohl,fahr wohl,meine
Taube! | さようなら、さようなら、私のいとしい人! |
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Mein junger frischer Hansel
ist's, | 若く元気なハンスちゃん |
der mir gefällt - Und kommt er
nimmermehr? | 私は好きだったのにー二度と帰って来ないのでしょうか? |
Er ist tot,o weh! | あの人は死んだ、あぁ! |
In dein Totbett geh’, | お前自身死の床に行くがいい |
er kommt dir nimmermehr. | あの人はもうあなたのところには決して戻ってこない |
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Sein Bart war weiß wie Schnee, | あの人の髭は雪のように白かった |
sein Haupt wie Flachs dazu. | あの人の頭は亜麻のように白かった。 |
Er ist hin,er ist hin, | あの人は死んだ、あの人は死んだの |
kein Trauern bringt Gewinn: | 悲しんでも無駄なこと。 |
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Mit seiner Seele Ruh | あのひとの魂に安らぎがありますように
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und mit allen Christenseelen! |
すべてのキリスト教徒の魂といっしょにいられますように!
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Darum bet' ich! Gott sei mit
euch! | だから私は祈るの!神様のご加護がありますように! |
先ほども書いたように私は3曲目が特に好きです。
特に、「Mit seiner Seele Ruh ~」(7’00”あたり)以降が特に好きです。
ここまでの言葉は、昔から伝わる民謡をそのまま歌っているのですが、
ここからは彼女自身の言葉なのです。
それまで、フワついたり、たどたどしい足の感じと違って、神様が彼女を受け入れるような音楽になります。久々にじっくり聞いたけど、いいわぁ~~。
あらあら、またしても長くなってしまいました。
音楽の論文と言うのは、こんな感じなのです。
主観がほとんどですが、私はこういう風に解釈したよって言うのを言葉にしていくのです。
論文テンションでブログを書いてしまいましたが、たまにはいいでしょ??(;'∀')
でも、この曲、とっても素敵だと思いませんか??